SSブログ

海のアイドル(27) [魚]

(前回からのつづき)
 海岸の方を眺めてみると、左手海にせり出した岩場の向こうにエントリーした浜が見えるではないですか。流されたんだ~!と初めて気づきました。ちょっと冷静さを失っていたんでしょうか、そのまま水面を泳ぎ帰ることにしました。水深は7~8mで海底が見えます。泳ぎだしたものの海底の岩が全く動かないのです。キックを止めると後戻り、こりゃだめだと必死でキック、カメラを持っていたので、片方の手でも水をかき懸命に泳ぎます。二人の仲間も同じように後ろで泳いでいます。少しづつですが海底が動くのを確認しながらしばらく泳ぎ続けました。やがて岩場の先を通過すると嘘のようにスーッと体が前進します。やっと流れから抜け出せたのでした。安心して後ろを振り返ると二人はまだ奮戦中、大声で「ここまで来れば大丈夫、頑張れ!」と叫びましたがなかなか近付いてきません。この様子を見ていた岡番の仲間が、たまたま居合わせた漁師さんに頼んで船を出してくれと頼んだようで、彼ら二人はやがて船にピックアップされて岸に戻っていきました。私といえばそのまま泳いで岸へ・・・、イヤーホント、しんどかった・・・。
(つづく)

             今日のアイドルは「クマドリカエルアンコウ」

       クマドリ.jpg

            私がいつも通うポイントに現れた珍客です。
            彼(彼女?)があらわれると
            ポイントが俄かに賑やかになります。
            魚影が増えるのではなく
            訪れる人間が増えるのです。
            彼は昼間はじっとして
            フラッシュを浴びていますが
            夜間寝床を変えるのか
            他の岩へ移動するので
            次の日、ガイドがお客さんダイバーを従えて
            こっちの岩へあっちの岩へと
            渡り歩く情景がとても滑稽でした。

「カエルアンコウ」の科名のこと
2007年にイザリウオ科がカエルアンコウ科に変更されました。
イザリという言葉が差別用語に当たるという理由だそうです。
実は昔、このイザリウオという名前について職場の上司と議論をしたことがありました。職場で発行するミニコミ誌に海のエピソードを載せることになり私に記事の提供依頼がありました。そこで西表で撮ったイザリウオのことを書きましたが、これが上司の目に留まり、イザリという言葉はダメだというのです。上司は総務の仕事柄、同和問題に関心を持っていたので差別用語にひどく神経を遣っていました。
しかし当時イザリウオというのは学会でも認められた科名だからと主張しました。結局本文での表記はそのままでとし、表題に大きく書くのは控えようということで落ち着きました。
それから十数年経ち、学会もやっと腰を上げ、科名の変更に漕ぎ着けたのでした。改めて手持ちの図鑑を見てみましたが、全て○○イザリウオのまま(当たり前)ですが、このまま特別な処置・対応がないままでいくのでしょうか、ちょっと疑問です。

              人気ブログランキング↓クリックお願いします
                      人気ブログランキングへ